無駄・無駄・無駄

友人が「百円均一に行きたい」と言った。特に用事もなかったので、私はそれに付き合うことにした。なんでも調味料は百円均一で買ったほうが一人分なら適量を買えるそうだ。

私は商店街に詳しくない。彼の後を黙って歩いた。十分か十五分ほど歩いたところで、彼の様子がおかしくなった。「どうした?」と私は聞いたところ、彼は「あるべきところに店がない」と、そんなことを言った。

あるべきところに店がない、それが事件のはじまりになることはない。この文章はミステリーでなく日記である。不景気で企業が倒産しただけである。無駄足を踏んだことにも特別の意味はなく、まったくの無駄である。ここまでの270ほどの文字もまた無駄なのである。

私は無駄が嫌いなので、帰りに本屋に寄った。二冊ほど薄ぺらな本を買った。前から欲しかった本を買った。前からといっても数日前からだ。つまり、さほど欲しくもなかった。それでも無駄は嫌いなので買った。

無駄足は嫌なので無駄に本を買った。そんな無駄な日記。