野矢 茂樹『入門!論理学』
- 作者: 野矢茂樹
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 新書
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特に違和感があったのは「排中律」に関する記述である。
第1章で「論証と導出とは切り離せる」と書かれていた。そして導出について「前提が正しいならば必ずその結論が導かれる」それができれば導出には問題はないと書かれていた。
にもかかわらず、第2章では、あいまいな概念には排中律は成立するとは限らないと書かれている。私には理解できない。あいまいだろうとなんだろうと「正しいならば必ずその結論が導かれる」それができれば良いわけで、それから言えばあいまいなら線を引けばいい。正しいとする基準を決めればいい。線引きの正しい正しくないは導出自体には影響しないし、排中律には関係ないのではないか。
そもそも正しいか正しくないかの線引きは誰がするんだと。その定義については、導出としては問題がないのではないか。事実などの現実的な側面から排中律を否定していることに違和感があった。標準的な内容だけでも良かったのではないかと思った。
「ならば」の否定も「(P→Q)⇔(¬P∨Q)」の否定と考えれば悩まなかったのではないかと思う。
もちろん、その標準的でないものも書くことに価値があるのも間違いない。縦書き右開きの論理学の本を標準的でないものを含んで書く。これはこれで価値があるだろう。しかし、私が読みたいのは「入門!論理学」である。これが論理学の入門に適した本かを考えると疑問である。