深沢 隆司『いちばんやさしいPMBOKの本』

いちばんやさしいPMBOKの本 (技評SE新書)

いちばんやさしいPMBOKの本 (技評SE新書)

特になにもしていないので1月1日に読んだ『いちばんやさしいPMBOKの本』について書く。

筆者の経験から例が出ているのはまあいいとして、「いちばんやさしい」かはかなり疑問だ。

私が本書を見ていて思うのは「プログラムにおけるループ変数」である。

プログラムのループ変数とはfor文で使うiなどのことである。この変数は短い名前が好ましいとされている。なぜなら、長くなくとも意味が十分に通じるし、それが有効な範囲が限られているし、長いと逆に読みづらくなるからだ。

最初のページで「本書ではプロジェクトをPと呼ぶ」の一文を加えれば、本書の厚みは減るように思う。

要は一つ一つの言葉が長いのだ。プロジェクトマネジメントをPMにしてもいいし、タイムマネジメントをTMにしてもいいし、コストマネジメントをCMにしてもいい。限られた範囲においては「タイムマネジメントが〜。タイムマネジメントを〜。」と長ったらしく書かずとも「TMが〜。TMを〜。」と短かく書けばいいのではないか。

これは本書の問題ではなくPMBOK自体の問題なのだろう。私はPMBOKの言葉選びが好きでない。「Project Management」という言葉一つとったとしても、どうして「プロジェクトマネジメント」でなければならなかったのか、「プロジェクト管理」ではいけなかったのか、二文字か三文字の適当な熟語は作れなかったのだろうか。私にはPMBOKにおけるカタカナ語の氾(はん)濫がどうにも好きになれない。

そう、もう「ループ変数」以外に思ったのが「どうして右開きの縦書きなのか」だ。

全体を通じてカタカナや英字が多い。文字種がカタカナや英字に偏っているのが分かっていて、どうして横書き左開きにしなかったのか。そもそも技評SE新書という名前で対象をSE(システムエンジニア)にした時点で(もし別の意味があるなど、間違っていたらごめんなさい)、横書き左開きを主にした方が良いのではないかと思った。

文字の大きさも気になるし、ページ数の少なさも気になる。そのくせ値段が高い。技評SE新書はよほどのことがないかぎりもう買わないだろう。