一日一冊『哲学個人授業』鷲田 清一, 永江 朗

哲学個人授業-<殺し文句>から入る哲学入門 (木星叢書)

哲学個人授業-<殺し文句>から入る哲学入門 (木星叢書)

今日の一冊は『哲学個人授業』鷲田 清一, 永江 朗。メモによると、今年の三月二十三日の新聞で見て、読みたくなったらしい。自分の順番になるまでになんと五ヶ月かかりました。素直に書店で立ち読みでもすれば良かったのにね。

まずは表紙から。方眼紙のような模様をした紙に「てつがくこじんじゅぎょう」と大きなひらがなで書かれている。色は白と黒、すっきりとしている。ちなみに作者の永江さんは以前『恥ずかしい読書』で読んだことがあるみたい。なんとなく本の雰囲気が似ているような気もする。

哲学者の紹介とその著書からの一節、その後に対話。それが続く。単純な構成だが、表紙同様わかりやすい。内容は恐ろしくわからない。そもそも、それが何を言っているのかさえ、わからない。なるほど、これが「よくわからないけど、なんかカッコイイ」ってことか、と思った。

殺し文句から入る哲学入門という副題がついているのだが、入門という雰囲気ではない。よく知らないが哲学の入門はこういうものなのか。哲学個人授業と言っても読者が個人授業を受けるのではなく、「永江さんが鷲田さんの個人授業を受けた」という本だ。想定される読者は永江さんレベルということにはならないか。だとすれば、残念ながら私には段階が合っていないのではないか、と思った。

ただ、哲学者紹介という役割で言えば十分な内容だと思う。「よくわからないけど、なんかカッコイイ」を植えつけることに成功しているし、お勧めの書籍も紹介されている。興味がわいたら、そちらへどうぞ、ということなのかもしれない。なるほど入門か。ただ、紹介されている一節と同等の一冊を読むのは、相当につらいというのが容易に想像できる。暇ができたら読んでみようという感じか。

まとめると、他の本への基点として、哲学者の紹介として読むのに良い一冊。税別1500円。妥当な値段。買っても良い。