最後の夏休みの最後。

最後の夏休みの最後。最後のアルバイト。

はじめ、「最後の夏休みだから良いものにするんだ」。
なかごろ、「もう半分が終わってしまった。まだ時間はある」。
おわり、「夏休みらしくなってしまったなあ」

すべてを通してみて、いかにも私の夏休みだなと思った。いままで何度も夏休みを経験してきたわけだけど、思えば、いつもこうだった。毎年、去年とは違うんだと意気込んではじまっていたし、毎年、八月最後の日は宿題に追われていた。

実を言うと、今年は八月の真ん中を過ぎたあたりで、このことに気づいていた。

「夏休みって何だったんだろう」って、そんな風にふと思った。最後の夏休みの半分以上が終わってしまってから、思った。それを考える前の日には「確かにもう最後だ。最後になってしまった。でも、まだだ。まだ9回の攻撃はスリーアウトまで終わらないんだ」ってそんな気持ちだったのに、冷静に、半分を過ぎた時点で何も得ていない自分を見たら、気持ちが変わった。何かを得ようと必死に戦って、後悔するのが夏休みかな。こんなに時間を気にして、自分を追いつめて、それが夏休みかな。夏休みだから、バカをやっても許されるんじゃないか。夏休みだから、マジメに戦わなくてもいいんじゃないか。

夏休みの「ゆっくりしていってね」という声が聞こえたんだよ。

で、ゆっくりしたんだ。一日中ゲームしてみたり、一日中ごろごろしてみたり、一週間ごとくらいで更新しようかと思っていた日記をあえて一ヶ月休んでみたり。

その結果がこれだよ。夏休みの暗黒面に落ちたら、こうなるんだよ。そう、日記。宿題なんてのは、この年齢だと当然ない。しいて言うなら日記こそが宿題だ。8月最後の日に8月すべての日記をつける。大ざっぱなメモや、アクセス履歴。ファイルのタイムスタンプなんかを頼りに、自分の行動をひたすらたどっていく。ああ、夏休みだ。眠い目をこすりながら、日記を書いて書いて。

結局、朝までかかって半分くらいしかできなかった。ああ、夏休みだ。予想どおりの夏休みを終えることができた。これ以上はない。完璧な「夏休み」だった。