一日一冊『重力ピエロ』伊坂 幸太郎

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

今日の一冊は『重力ピエロ』伊坂 幸太郎。随分と前から図書館で予約していたもの。もう普通に買おうかと思っていたら、ひょこっと借りれたりするのが不思議だ。『陽気なギャングが地球を回す』、『オーデュボンの祈り』、『アヒルの鴨のコインロッカー』の三冊を以前読んだことがあるので、これが四冊目。

遺伝子・家族・放火・グラフィティアートあたりがキーワード。さすがに慣れてきたせいか、いつもより先が見えたように思う。だから終盤での驚きみたいなものがあまりなかった。ただ、毎度のことながら登場人物たちや、彼等の会話は面白い。

何気なくはじまる会話は、そのほとんどがきちんと意味を持っていて、あとで利用される。雑学としかいいようのない内容は、登場人物の心理やら考え方を表すものとして使われたり、それを後でひっぱって次の展開につなげたりする。そういう流れが、話のところどころにある。今回は、以前に読んだ三冊よりも、それがはっきりとしていたように思う。ストーカーの夏子さんなんかは良い例だと思う。

先に書いたように「驚き」というのはそんなになかったんだけど、決して悪い意味じゃなくて、すっきりとまとまっていて、素直に読めるように感じた。税別629円。良い。