死からの再生

死・灰・ロストという三状態を持ち、死・灰からは助かる可能性があるとする。死からの再生に失敗したとき灰になり、灰からの再生に失敗したときロストする。ロストが現実世界における死で、その前に二つの状態が追加されたことになる。

これはゲーム『Wizardry』の世界でのことだ。

Wizardryはゲームとしては割と厳しい。ダンジョン内で全滅しても、わずかな体力で復活したり、街に戻してもらえるようなことはない。死ねば、そこに死体が残る。

しかし、そこからが現実とは違う。ここに「死からの再生」という要素が入る。先にも書いたように、死はロスト(現実における死)の前段階でしかない。だから、どうしても仲間を取り戻したいなら、別の仲間でパーティを組み、ダンジョン内に転がる死体を拾いに行くことができる。死体を取り戻せば、生き返らせることもできるかもしれない。

もちろん、さらに死体を増やすかもしれないし、死体が食い散らかされているかもしれない。死体を拾うためには、パーティに空きを作っておく必要もある。厳しい条件であるうえに、死体を拾うことに成功しても、生還は保証されない。

「死からの再生」を持つからこその苦しみである。ゲーム『Wizardry』の世界における死は、現実の死とは異なるが、別の残酷さを持っているように思える。

そして、キャラクタはすべて寿命を持つ。災難によるロストをどんなに逃れたキャラクタも、いずれは寿命によってロストしてしまう。ロストからは逃れられない。ロストの前に死・灰という二状態を作ることで、死からの再生というゲームらしさを持ちつつも、決してロストからは逃れられないという現実的な面を持っている。