一日一冊『ダンシング・ヴァニティ』筒井 康隆

ダンシング・ヴァニティ

ダンシング・ヴァニティ

今日の一冊は『ダンシング・ヴァニティ』筒井 康隆。これで四冊。あとは衝動買いした『時をかける少女』でたまっている筒井康隆リレーも終わりか。今まで読んだ、他の三冊は読もうと思って、選んで(図書館)予約したんだけど、この一冊は適当に選んだ。Wikipediaによると、最新(2008年)の小説らしい。意外と新しいものだった。

表紙は、フクロウとマイクを持って踊るバニー姿の二人組。

数ページ読んだ時点で「あれ?」となる。見覚えのある記述。数ページ前でも似た記述があるのだ。最初から最後まで、たくさんの小さな繰り返しからなっている。そして、これがずっと続く。ある程度読めば「ここが繰り返しの基点になるかな?」という予想を立てながら読むようになる。

たまに、思い出したように、ずっと前のページで出てきた「繰り返し」がぶり返したりする。繰り返された項目というのは自然と頭に残るので、それを生かした「ぶり返し」は、効果的だなと思った。ある種の伏線だなとも思った。

繰り返しをすこしずつ変化させて、何度か行ったあと、次へと進む。進んだと思ったら、繰り返しに入る。これがひたすら続く。主人公が死ぬところまで、ずっと。それくらいか。

主人公や、その家族にも細々した設定はあるんだけど、表現手法にばかり目が行った。話の筋自体が、面白いとは思えない。税別1400円。950円くらいかな。