一日一冊『ニート』絲山 秋子

ニート (角川文庫)

ニート (角川文庫)

今日の一冊は『ニート』絲山 秋子。あまり考えずに買った。ひきこもり予備軍なうえに、それを回避するために進学した私には、このタイトルは引きつけるだけのものがあったのかもしれない。

真っ白な背景に、黒い電柱とそこから張り巡らされた電線。白と黒以外の色は、電柱に巻きつけてある黄色い帯だけ。がんじがらめに見える空。ニートのイメージか。

五つの短篇。一つ一つがとても短かいので、解説を含めても177ページしかない。

タイトルにもなっている短篇『ニート』は、ニートになっている昔の男に、主人公の女が金をやる話。気持ち悪い。すべて女の主観でもって語られる。一人称は私、二人称はキミ。気持ち悪い。

女は男のブログを見て、男がニートになっているのを知って、それはもう勝手に金を与えることを決める。それで一人でウキウキして、このクソみたいな文章を書いているのだ。すくなくともそういう設定で、『ニート』は書かれているように見える。

男は「惰性だけで生きている」という風で気持ち悪い。他人のことを考えず、ただ、「生きてみようか」とそんな気持ちだけで生きている風が気持ち悪い。そして、それを助けようとする女はもっと気持ち悪い。助ける自分をすこしでも遊びのようにみせたり、同じところから先に進んだ存在だとそんな風に思っている姿が気持ち悪い。

で、全体を通じて、何が言いたいのかよくわからない。言いたいことなんてないのかも。ただ楽しいから書いているだけかも。そんな風に思った。薄い本。税別438円は高い。ていうか、ウェブで読みたい。もちろん、タダで。オレ、オマエが思ってるより、ずっと図々しいから。ああ、気持ち悪い。