一日一冊『The S.O.U.P.』川端 裕人

The S.O.U.P. (文芸シリーズ)

The S.O.U.P. (文芸シリーズ)

今日の一冊は『The S.O.U.P.』川端 裕人。友人にすすめられたので読んだ。期待したほど面白くなかった。真っ暗な部屋に光るCRTと、その光に照らされたキーボードの描かれた表紙。黒と白で描かれている。

この物語には、三つの世界がある。現実とインターネットに分けられて、さらにインターネットはオンラインゲーム『S.O.U.P』とその他に分けられる。主人公はS.O.U.Pを開発した三人の一人。本当の(リアル)ハッカー*1

ハッカーが割とリアルだったと思う。映画にありそうな「爆発まであと30秒しかない!」「待って、今からこのコンピュータにアクセスしてみる(カタカタ)」「早く!あと10秒!」「あとちょっとなんだ(カタカタ)」「もうダメ!4、3、2……」「よし!(残り1秒でENTERキーを叩く)」(ギリギリで止まるタイマー)、こんなシーンで活躍するハッカーに比べれば、かなりリアルだったと思う。ただ、そういうコマンドだとかなんとかの技術的な部分が現実に即しているかどうかは、さほど重要なことではないと思う*2

リアルかそうじゃないかにかかわらず、こういうインターネットやオンラインゲームを描いたものをあまり好きになれない。理由はわからない。高校時代にそういうものにどっぷりつかって、ちょうど登場人物の一人、統のはじめのころのような、あんな状態になっていたことがあるからかもしれない。

税別1800円。もし買っていたなら、きっともう一回は読むと思う。まだ、何が言いたいのか、何が面白いのか分かっていない。現状1800円の価値はない。もう一度読めば、それくらいの価値になるかもしれない。

*1:正直なところ、(笑)をつけたくなるような書きかただが、実際にこのとおり書かれているのだから仕方ない

*2:もちろん、上記の様なシーンにツッコミを入れたくなる気持ちはあるのだが