一日一冊『チョコレートゲーム』岡嶋 二人

チョコレートゲーム (講談社文庫)

チョコレートゲーム (講談社文庫)

今日の一冊は『チョコレートゲーム』岡嶋 二人。学校の帰り道で買った。学校で、講談社の100冊なんてのをピラピラさせて、「どれ読んだことある?」なんて話をした。友人が、「これとこれとこれを読んだ」とそれは親切に教えてくれた。意外と読んでいないものだなと思った。そして、彼はさらに「この本は読んでみたい」と一冊の本を指して言った。おれは嫌味な人間だから、遠慮なく、彼の読みたいと言っていた本を買った。それがこの本を知った理由。読もうと思った理由。おれは嫌味な人間だから。

主人公は一人の中学生の父親。彼の息子の学校で殺人事件が起きる。そして彼の息子は殺人事件の犯人にされてしまう。父親は息子の無実を証明するために孤独な戦いを繰り広げる。まーそんな感じ。

父親と母親と息子と。家族だとか学校だとかの描写、人間の描写がリアルと感じた。親を嫌がる子どもの姿とか、子どもに無関心な父親の姿とか、受け入れ難い事実に直面したときの母親の反応とか、こう、うまくとけあえない家族の描写がリアルだなあと。真にリアルかはともかく、リアルだなって感じた。

断片っつーか、伏線っつーか、その細かいピースの与えかたがうまい。最後まで読んだときに、「ああ、なるほど」って思えるような、無理のないもっていきかたができるのは、伏線の張りかたというか、ピースの与えかたがうまいからだと思う。

あんまり書くとネタバレしそうなので、もうやめる。税別514円。これは良い。700円くらいでもいいな。