一日一冊『黄色い部屋の謎』ガストン・ルルー, 宮崎嶺雄

黄色い部屋の謎 (創元推理文庫 108-1)

黄色い部屋の謎 (創元推理文庫 108-1)

今日の一冊は『黄色い部屋の謎』ガストン・ルルー, 宮崎嶺雄。『「色彩セラピー」入門』でおすすめされていたので読むことにした。密室殺人の古典とか、名作とか聞いていた。

ちっとも黄色くなく、赤みがかった表紙。紙は変色して、やや黄色くなっていた。文字は小さく、改行も少ない。ページ数以上にたくさん読んだ感じがあった。表現がまわりくどく、主人公をはじめ、皆、余計なことを喋るので、字数が増えているようにも思う。

主人公である新聞社の青年、ジョゼフ・ルールタビーユが、密室殺人(正確には未遂だが)の謎にせまる。

冒頭からずっと期待していた密室のトリックは、イマイチだと感じた。なんというか、偶然にその状況になったという風で、トリックという感じがしない。ただ、展開は面白いし、犯人もそれなりに意外なのでまあまあ良い。

ルールタビーユの若さ、爽やかさ、聡明さが良かったと思う。何を言っているのかサッパリという場面が多いが、彼独特の「クール」さ、かっこよさだと思った。先にも書いたように、字数が多いことは問題だが、読ませるだけの魅力があったように思う。

600円はまあ良い値段。ただ古い本だし、買うなら中古で買いたい。日焼けした感じの本で読みたいな。420円。