一日一冊『“文学少女”と神に臨む作家 上』野村美月, 竹岡美穂

今日の一冊は『“文学少女”と神に臨む作家 上』野村美月, 竹岡美穂。以前、友人から借りて読んでいた文学少女シリーズに7冊目が出ていたので、今度は自分で買って読むことにした。陳列されている棚の前に立ったとき、はずかしい感じがした。アニメ絵の女の子が描かれた表紙の本を手に取り、レジに持っていったとき、「あいつは、これを買うのってはずかしくないのかな」、そんなふうに思った。

先にも書いたように、表紙は遠子先輩がでかでかと描かれている。いざ、本棚に置いてみると専門書の合間にはさまる「文学少女」の存在感、違和感は想像以上なので、カバーをかけたまま、どこかに置いておこうと思っている。

あとがきにもあるが、心葉のへたれかたがどうしようもない。うぜぇ。全体的にうぜぇ。のろけうぜぇ。正直、どの道を選ぼうがほとんどリスクねぇ。消えかかってる(?)先輩と、こんなに存在感あったっけなななせの間を行ったりきたりする心葉うぜぇ。正直どっちでもいい。小説書けるなら書けよ、ていうかずっと書いてたんじゃないのかよ、うぜぇ。めんどくせぇ。

バレンタインデーで、ななせの部屋で二人きりというシチュ。校章の回想に引いて、部屋チェック禁止に引いて、硬貨コレクションに引いた。そして、三十秒ほどしてから笑った。笑うしかないほど引いて、鳥肌が立った。ラブラブ(死語)だとか、アツアツ(死語)だとか、そんなチャチなものじゃあ、断じてねぇ。ネタとしても笑えねぇ。普通に引いた。ななせはパねぇな。

この読後感がたまらない。この得たものの少なさは、なにものにも変えがたいよ。上巻でわかったのは、遠子先輩の家庭の事情と、心葉のへたれさと、ななせのストーカーぶり。上ってことは、下があるんだよね。下巻まで待つのも手だったかも。

600円あれば、1.3mmのシャーペンが二本は買える。妥当な値段なのかな。