一日一冊『東の海神 西の滄海』小野不由美

東の海神 西の滄海 十二国記 (講談社文庫)

東の海神 西の滄海 十二国記 (講談社文庫)

今日の一冊は『東の海神 西の滄海』小野不由美十二国記の三つ目かな。今回は上下巻じゃないみたい。

延王尚隆と延麒六太の話。王は、ふだんはへらへら、やるときはやるというカッコイイの一つの型にはまっている。その王が、一見、理想的だが、それほどの器ではない男を駆逐する。遠山の金さん的な、暴れん坊将軍的な展開だった。

国とは何か。どうして国には王が要るのか。延王の考え方が場面場面で出てくる。国、王、麒麟が頭の中をぐるぐるした。漫画『ワンピース』の砂漠の島のあたりを思い出した。

麒麟が血を嫌う生き物だということが強調されていた気がする。争いを嫌う麒麟が王を選び、王の側に居る、という意味を考えさせられた。そんなことを考えているときに「天意」という言葉が出てくるのが気になった。登場人物がいくら魅力的だろうが、展開が面白かろうが、運命というか、物語のさだめというか、天意とでもいうしかないなにかによって縛られている。「これはあくまで物語なんだ」と、そんな風に感じさせられた。

いやに天意天意と言う王の、天を試してやろうと言わんばかりの強気な態度は、カッコイイという見方もあるんだけど、自嘲のようにも感じた。そんなとこかな。